30th Anniversary Mizutani Foundation for Glycoscience

30th Anniversary Mizutani Foundation for Glycoscience | メッセージ

30th Anniversary Mizutani Foundation for Glycoscience

MESSAGE

メッセージ

鈴木 邦彦 理事

日本学士院会員
米国ノースカロライナ大学 神経内科・精神科名誉教授
同大、神経科学センター名誉センター長

水谷糖質科学振興財団とのご縁

First Phase:
 今年は水谷糖質科学振興財団(以下、水谷財団)の創立30年と言ふことで、これを書いてをります。ところが、私と水谷財団とのご縁、と言ふことになりますと、理屈は通りませんが、その発端は30年前に財団が発足してからではなくて、半世紀前からであると言はなくてはなりません。私は1960年に日本を出て、最初の13年間は日本に帰る機会がありませんでした。最初に日本に戻ったのは、1973年、塚田裕三さんが東京で主催なさった、第四回国際神経化学会のためでした。その13年間の間に東京オリンピックが催され、新幹線が走り、私が生まれ育ち、教育を受けた東京も高速道路が縦横に走って、良く知ってゐる筈の渋谷の街の真ん中に立って、何処が何処だか判らず、立ち往生したことをよく記憶してをります。私が生化学工業の創始者である、水谷當稱さんに初めてお目に掛ったのは、その学会中でした。その時の當稱さんの言葉を鮮明に記憶してゐます。「先生、好い加減に日本に帰っていらっしゃいよ」 その後も、時折、学会出席のために日本に来て、お目に掛る度に、「まだ帰って来ないのか?」みたいなことを言はれました。この當稱さんとの全く個人的なお付き合ひが非公式ではありましたが、発足前の「水谷財団」と私のご縁の重要な第一期であったと言ふべきだと感じます。

Second Phase:
 財団とのご縁の第二期は財団創設後で、公式なものでした。私は依然としてアメリカで、日本の大学、研究所などとのご縁は全くなく、純粋に個人として、アメリカの研究環境の中にをりました。その当時、盛んだった、所謂ノックアウト技術を使って、マウスモデルを作って、糖脂質とその分解酵素であるライソゾームに局在する遺伝的には全く異なる二つのβ-ガラクトシダーゼの代謝関係を追及してをりました。幾つかの遺伝的に異なるマウスモデルを作って、お互ひの間の色々な掛け合せによって、遺伝的に複雑な系を作り、その代謝の詳細を解析するには、少なからぬ時間と研究費を必要とします。私の研究は全てアメリカのNIHからのグラントでサポートされてをりまして、研究費に困ると言ふことは無かったのですが、出来ることなら更に研究費が欲しいと言ふ状態になり、それまでに水谷財団が創設されて、研究費の援助をしてゐることを知った私は、一人の研究者として、水谷財団に応募し、幸ひ、グラントの援助を戴けることになりました。つまり、私の水谷財団とのご縁の第二期は、グラントの援助を戴いた一人の研究者としてでした。その結果は2002年に財団の創設10年記念誌に報告させて戴きました。(Suzuki, K.: Glycolipid metabolism in the pathophysiology of genetic neurological disorders. In Glycoscience 1992-2002, Integration toward systems glycobiology, in commemoration of the 10 years of Mizutani Foundaiton for Glycoscience, pp. 90-91, 2002.)

Third Phase:
 私の水谷財団とのご縁の第三期は2006年以来現在に至るまでの財団理事の一人としてのものです。私は、2003年から東海大学の糖鎖科学研究所の所長、特任教授として、日本で初めにして、最後の職を奉ずることになりました。実際に、米国の永住権を放棄して、名実ともに日本に戻ったのは、2008年でしたが、2000年代前半は、中途半端で、日本とアメリカの間を年に6回往復する生活でした。そのある日、水谷建さんが研究所へいらっしゃって、財団の理事の一人として手伝って欲しいとのご提案をうけ、私はそれ以来、水谷財団の理事を務めてをります。正直な処、どれだけのお役に立ってゐるのか?あまり自信はありません。

 振り返って見まして、私は當稱さんのとの個人的なお付き合ひ、研究援助を受けた一人の研究者、そして、現在の財団理事として、三つの異なる立場で水谷財団のお世話になって来てゐるわけです。今となりましては、當稱さんの 「先生、好い加減に日本に帰っていらっしゃいよ」が遂に勝ちを占めた感あり、ですが、水谷財団が糖鎖研究の分野で果たした役割は、単に日本国内だけではなく、国際的にも大きなものであったと痛感致します。個人的にも私は、財団のお蔭で、どの期間も楽しく過ごさせて戴いたと感謝してをります。既に90歳に達した私の先はもう見えてをりますが、水谷財団には益々の御発展を祈念致します。

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30周年記念に寄せて

ごあいさつ  水谷 建(理事長)

水谷糖質科学振興財団とのご縁  鈴木 邦彦(理事)

30周年記念に寄せて  遠藤 玉夫(理事・選考委員長)

記念講演会

プログラム

特別講演  Christina M. Woo

招待講演  河岡 義裕

特別講演  梶原 康宏

招待講演  門松 健治

研究助成

応募規定

助成概要

助成者、タイトル(2018-2022)

過去助成者一覧(1993-2022)

研究報告書

助成者研究報告書(選抜25編、2017-2021)

学会・会議開催支援

国際会議および国内学術会議開催助成申し込み要領

国内学術集会開催支援一覧

国際交流(糖質関連国際会議)支援一覧

財団概要

概要

役員一覧

過去役員一覧

設立趣意書